君をトリコにする方法




――夏祭り当日。


期末テストは赤点の心配をするどころか、平均よりも高い点がとれた。


そのおかげで補修にひっかかることもなく、今日は存分に楽しめる。



「はい!できたよ~」



浴衣の着付けが終わると、ママはにこにこ笑顔でそう言った。


白地に黄色のお花が咲いたかわいい浴衣に、淡い水色の帯。


何回も着たことがあるわけじゃないけどお気に入りだ。



「ママ、ありがとう!」



自分で着付けをすると、とんでもないことになるから助かった。


そのあとメイクをしてヘアアレンジをしていたら、あっという間に約束の時間になる。


ピンポーン。


インターホンが鳴って、瞬が迎えに来てくれたことを知らせた。



「ママ、行ってきます!」

「いってらっしゃい!楽しんでね!」



いつもと変わらない笑顔で見送られて、玄関の扉を開ける。


そこには、白いTシャツに涼し気なアウター、白茶色のズボンを着こなした瞬が立っていた。


いつもはさらさらの髪も、今日はワックスで整えられてる。



「えっ、かっこいい!」


「第一声からどーも。ていうか、そういう反応するなら俺じゃない?希帆、浴衣着てるのに」



た、確かにそうかも……?


瞬があまりにもかっこいいから、はしゃいでしまった。


えへへ……と笑っていると、当たり前かのように自然と手を握られる。