「ほんとお前はこういうとき素直にならないよな。俺には我慢せず全部言えって言ったの忘れた?」


「そ、れは……覚えてる、けど」



体育で足をひねって、瞬にお姫様抱っこされたとき。


恥ずかしくてドキドキだったのに、優しくて温かい言葉をくれたから覚えてる。


でも、だからといってなんでもかんでも話せるようになってたら苦労しないというか……


んー……どう言ったらいいんだろう。


必死に考えていると「希帆」といつもより優しい声で呼ばれた。



「大丈夫、ちゃんと努力したんだから。あとは全力でやりきるだけ。夏祭り行くんだろ?」



にこっと微笑まれる。


まさかテスト前で不安になってることすら気づかれてたなんて。


ほんと瞬はなんでもお見通しだなあ……



「……うんっ。ありがとう、元気出た」

「ん。じゃあ単語復習しようぜ」

「はーい」



お互いに問題を出し合いながら足を進める。