「いってきまーす!」

「いってらっしゃい!テスト頑張ってね!」



ママに笑顔で見送られて、瞬とふたりで学校へと向かう。


いつもは話しながら登校するけど、テスト期間中の間は危なくない程度に勉強しながら歩く。


私は前もって用意していた英語の単語帳を開いた。



「ええっと、appealは訴える……attendは……」



ちゃんと覚えているか確認しながらページをめくる。


すると瞬が距離を詰めてきた。

どうやら一緒に単語帳を見たいらしい。



「……ねえ瞬」

「ん?」



目線を上げるとぱちっと目が合う。

それと同時に言おうと思った気持ちが逃げる。



「……ううん、なんでもない」



呼んだだけ、と笑って誤魔化す。

すると瞬は大きなため息を吐いた。