「……もしかしてお邪魔しちゃった?」

「え、いやいやそんなまさか!」



慌ててぶんぶんと首を振る。

瞬のママは「それならいいんだけど」と、ふふっと笑う。



「あ、そうだ。今から作るんだけど、希帆ちゃんも夜ご飯食べていく?」


「えっ、いいんですか!?食べます!」



瞬のママのご飯も美味しいから嬉しい!


わーい!と喜んでいると「それじゃあご飯できたら呼ぶね」とにこりと笑って部屋を出て行った。


すると部屋が急に静かになって気まずくなる。



「……あ、あの……瞬、ごめんね蹴っちゃって……」



一言も話さない瞬に声をかけると、やっと顔を上げた。



「いや、大丈夫。逆に助かった」

「そ、そっか……」



助かったという割には表情が晴れない。

私もまだいろいろな意味でドキドキしてて心臓が苦しい。



「はー……」



苦しさを少しでも紛らわすためにため息を吐くと、瞬も同じタイミングでため息を吐くからびっくりする。


どちらからともなく目を合わせると、ふたりして吹き出した。



「あーあ、いいとこだったんだけどな」

「もう、瞬ってば……!」