「っ、どーぞ!」



やけくそになって、いちごのケーキがのってるカップごと瞬の目の前へと滑らす。


だけどもちろん、瞬がしてほしいことはそれじゃなくて。



「俺、勉強が苦手な誰かさんのために頑張って教えたんだけどな。ご褒美、欲しいんだけど?」


「うっ、うう~……」



そんな風に言うのずるいよ!


でも確かに、瞬が教えてくれなかったら課題できてなかっただろうし……


それに正直、すっごく恥ずかしいけどしてみたいっていう気持ちもあって。



「っはい!」



覚悟を決めてフォークでケーキを切り分け、瞬の口元に運ぶ。


すると、わざわざ手首をつかまれて心臓がドキッと跳ねる。



「ん、ありがと」



いちごのケーキをぱくっと食べたあと、満足そうに笑う瞬。


それに対して私はドキドキが収まるわけもなく、意識をしてしまってフォークを動かすこともできない。



「食べないならもらうけど?」

「た、食べますーっ!」



これ以上あげることはできないと威嚇すると、瞬が声を出して笑う。


お互いの唇が触れてしまったフォークとスプーンをどうしても意識してしまいながら、残りのケーキを食べた。