「ほら、あーん」

「う、うう~……」



文句を言いながらも拒否なんてできるわけなくて、大人しく口を開けた。



「んむ……うう、美味しい……」



なんだか素直に喜べなくて中途半端なリアクションになってしまう。


それでも美味しいことに変わりはなくて、感情がごちゃごちゃで忙しい。



「はは、それはよかった」



瞬は余裕しゃくしゃくな様子でプリンを食べ進めていく。


深呼吸して気持ちを落ち着かせようとするけど、どうしても目がスプーンを追ってしまう。


瞬の唇に触れたとき、ぱちっと目が合ってしまった。



「なに、間接キスがそんなに恥ずかしい?」

「ば、ばかーっ!思っても言わずにいたのに!」



その単語を言われると余計に意識してしまう。

わざとだ、絶対わざとだ!

キッとにらみつけても瞬にはなんの効果もない。


それどころか。



「なあ希帆。それ、俺にもひとくちちょーだい」



にこりと笑ってそう言ってきた。