君をトリコにする方法

「……俺、あのときはああ言ったけど、別れるつもりなんてないから」


「え……?」



どういうことだろうと静かに瞬の言葉を待つ。



「大切な人のそばに変わらずいたいんなら、縁が途切れないよう努力したらいい。それは、幼なじみでも友達でも恋人でも一緒だろ?」



そう言われてはっとする。


そっか、そうだよね……

私、根本的なことに全然気づけてなかった。



「ま、俺は希帆の恋人としてそばにいたいから別れたくないんだけど」


「えっ、う、うん。私も……別れたく、ない、です」



瞬にこうしてグイグイ来られるのが久しぶりでたじたじになる。


でも満更でもなくて。


瞬が口元を緩めて右手を差し出す。



「じゃ、仲直りってことでいい?」

「うん!」



小さいころ喧嘩して仲直りしたときみたいに握手する。


このぬくもりがなんだか懐かしい。


小学生のときとかはよく喧嘩してたけど、大人になるにつれ少なくなっていったから。


まあ正直、この件が喧嘩に入るかはわかんないけど……