数時間後、仮眠をとった私たちは星奈と合流した。



「おはようお姉ちゃん、今日はいい天気だね、流星はもう起きたかな」



憂雅に抱っこされ連れてこられた星奈は、引き離されていたというのにとてもご機嫌だった。



「……星奈、お兄さんに何してもらったの?」

「絵本読んでもらったの!シンデレラ。
憂雅ね、読み聞かせがとっても上手なんだよ!
あとね、一緒にトムとジェリー見たの」

「そう、よかったね。
ありがとうございます、面倒見てもらって」

「いやいや、子どもの世話は慣れてるから」



頭をかいて照れくさそうな彼に安心した。

鳴海憂雅が子ども好きという噂を耳にしたことがあるが、本当のようだ。



「お姉ちゃん、ここ虫に刺されたの?赤くなってるよ」


安心したのもつかの間、星奈がおもむろに首に手を伸ばしてきた。



「え?どこ」

「あ、やべ」



キッと睨みつけると目を逸らす絆。

私は絆の腕をつかみ、さっきまで2人でいた部屋に引きずるように連れ込んだ。



「ねえ、目立つところにはやめてよ」

「昨日はご無沙汰で自我が抑えられなかった、ごめん」

「あれ、会えなかった間に他の女の人としてないの?」

「するわけねえだろ、本気の女見つけたってのに。
4ヵ月ぶりでぶっちゃけまだヤり足りない」

「は?いい加減にして」



絆の熱い視線を冷静な一言で鎮火して鎮火して、再び病院に向かうことにした。

朝の病院はシンとして冷え込んでいた。

流星が入院している特別棟を覗くと、元気な声が廊下まで響いていた。



「それでね、おれ、ステージに上がっていっぱいおかし取ったんだ!
たぶんあれはだれよりも一番多くとったと思うよ」



よかった、いつもの流星だ…と安堵して病室の扉を開いた。