惚れたら最後。

「“お前が好きだ”。この一言だけじゃ追いかけ回した意味が理解できないか?」




その発言を受け、驚きのあまり口を閉ざしてしまった。

直球投げてくると思わなかった……。

惜しげも無くアピールをしてきた絆に正直驚きを隠せない。

だけど、この押しの強さに負けてはいけない。



「私はあなたと一緒にいられない」

「どうしてだ?」

「私には守るべき秘密がある」

「子どもたちのことか?」

「それもそうだけど……」




ぐいぐい核心に迫ろうとするため思わずお茶を濁した。

すると、間に割って入ってきた憂雅が口を開いた。



「ちょ、ちょっと待て。絆、探してた子ってこの人なのか?」

「ああ、間違いない」

「でも旦那がいるって言ってたよな?
いやでも絆、お前が探してたのは18歳の女だし……は?」

「それは俺たちを欺くための嘘だ。
……そうか、お前は秘密を、兄弟を守るために嘘をついていたんだな」



すると話を聞いていた憂雅が首をかしげた。



「……兄弟?子どもじゃなくて?
お前さっき『子どもいたのか』って言ってなかったか?」

「あれは気が動転して言っただけだ。
よくよく考えたら琥珀は処女だったなと思って」



は?何言ってんのこの人。

思わず絆を睨んだ。



「子どもたちの前ではそういう発言控えてくれる?」

「悪い、デリカシーがなかった」

「えぇ……絆が謝ってる」

「は?なんだよ」

「いや、なんでもない。
……うぅん、それにしても何が嘘で何が本当なんだよ、頭がこんがらがりそうだ」





「んん……」



憂雅が大きく首をひねったその時、ベッドに寝かせた流星がうっすらと目を開けた。

素早く近づき流星の手をぎゅっと握って話しかけた。



「流星、大丈夫?私のこと分かる?」

「……ね」

「え?」

「ごめんね、琥珀姉ちゃん」



謝ってきた弟に目を丸くして驚いた。