惚れたら最後。

階段の一番下まで転がり落ちた流星はうつ伏せでピクリとも動かない。

恐る恐る近づいて抱き寄せる。

ぬるり、とおでこの辺りで何か生あたたかいものに触れた。

………血だ。



「お姉ちゃん、流星は……?」



怖々聞いてきた星奈の泣きそうな表情を見て、もはや冷静ではいられなかった。



「流星、流星……?やだ、しっかりして流星!」



揺さぶる流星の身体は熱い。

呼びかけに唸り声を上げ反応を示すものの、表情は険しく目を開けてくれない。

熱があったんだ。それなのに動き回ったから悪化して……!

どうして気がついてあげられなかったんだろう。

自分の不甲斐なさと、大切な弟を失ってしまうかもしれない恐怖に涙が込み上げた。




「おい、どうした。何があった」



その時、走ってくる足音と馴染みのある声に振り返ると、荒瀬絆が駆け寄ってきた。