惚れたら最後。

絆は顔を見るなりぴたりと口をつぐんだ。

その一瞬がどれほど長く感じたことか。

絆は眉根を寄せた厳しい表情の中に、どこかぼんやりとした様子で私の目を見つめると、ぼそりと口を動かした。







「………コハク」









「!!?」


………バレた?

いや、違うこの反応、そうじゃない。

ああ、私の瞳の色を見てそう呟いたんだ。

バレているのかいないのか。

真偽はともあれここを離れるべきだと子どもたちと手を繋ぎ、一礼して方向転換した。



「待て。お前……琥珀だな!?」



ところが、そう断言すると私の二の腕を掴んできた。

どうやらコハク色の瞳から琥珀と名乗っているのだろうと彼は思ったみたいだ。

心臓は早鐘のように、痛いほど脈を打っている。



「……お前、子どもいたのか」

「はい?放してください、人違いです」



だが下手に芝居を打つより冷静に対応すべきだと、なるべく声色を変えて対応したが、絆の表情は変わらない。

ダメだ……今度こそバレた!



「そうか……すまない、知り合いによく似ていた」



万事休すかと思われた瞬間、相手はするりと手を放した。