SIDE 琥珀



「……はぁ!?江戸川興業が黒幕じゃなかったの?」




数時間後、荒瀬からの連絡を受けた梟、つまり私は驚きのあまり大声を出してしまった。




「まじか、結構苦労して手に入れたネタだったのに……骨折り損のくたびれもうけじゃん、こんなの」



ショックを受け肩を落とし目をつぶると、しばらくしてからかっと目を見開いた。



「はあ、そしたら名古屋東海連合と水前寺一家を徹底的に調べますかね。
今回は事前に荒瀬から洗いざらい情報を提示してもらおうっと。
それにしても、廻りくどい方法使って情報を流出させるなんて。
相手はかなりのやり手だな。
国家レベルの巨悪が潜んでたりして……まさかね」



ここまで長引く案件とは思っていなかったが、大仕事になってくれたことに安堵した。

仕事が忙しければ忙しいほど助かる。

別の考え事をしなくていいということは、荒瀬絆への淡い恋心を忘れられるのだから。