「……朝からガサ入れしてたが、どうもおかしいと思ったんだ。
組員は全員70過ぎのジジイだし、組で使ってるパソコンなんてほこり被って、しかもWindowsXPだ。いつの時代だよったく。
おそらく情報源が江戸川なだけで、黒幕は他にいる!」

「だろうな、俺も今じいさんと話してそう思ったんだ」

「これからどうする?」

「とりあえず電子機器は全て押収してくれ。そこから分かることもあるかもしれない。
親父には俺から伝えておく。ご苦労だった」



通話を終え、ふと池谷の顔を見ると、彼は落ちくぼんだ目を大きく見開いて、杖を強く握りしめその手は大きく震えている。



「まさか……あいつが……!?
……私には10年前に、突然姿を眩ませた息子がいるのです。
最近風の噂で、半グレをまとめて詐欺師まがいのことをしていると聞きました。
金に眩んで、荒瀬の情報を盗もうとしてもおかしく無い!
そうだとすれば私は……!」

「……じいさん、落ち着いてくれ。
調査が済み次第あんたは隠居していい。無罪ならお(とが)めはなしだ。
江戸川は破門ではなく解体しよう。その歳まで重荷を背負わせて済まなかった。
ただその前に、あんたの息子の話を聞かせてくれ」



真犯人への手がかりを得るため、俺はもう一度老人と向かいあった。