惚れたら最後。

「あいつさ、俺に当てた手紙なのに琥珀のことばっか書いてやがんの。なーに心配してんだか。
あの夢の弟子だぜ?たくましく生きるに決まってんだろ」

「そう、だったんだ」



拓海の話を聞きながら絆をちらっと見た。

彼は拓海さんを目で追っている。

この反応……絶対バレてるじゃん。

拓海さん、何考えてるの!?

『夢の弟子』というフレーズに違和感を覚えてもおかしくはない。



「まあ、募る話はまた時間ある時にしようぜ。
そろそろ俺回診の時間だから」



拓海さんは楽観的に笑いながら病室を出ようと方向転換する。

すると、またしても絆が拓海の前に立ちはだかった。



「あんた、もしかして……」

「おっと、それ以上の詮索はやめてくれよ若頭。
世の中知らなくていいことだってある」



拓海はさん絆をかわしてすれ違い、ドアに手をかける直前で立ち止まった。