惚れたら最後。

すると突然、誰かが病室の引き戸を勢いよく開けた。



「琥珀!……おっと」



病室に入ってきたのは深刻な表情の初代梟──白衣を着た鳥飼拓海だった。

彼は勢いよくドアを開けたはいいものの、絆がいることに気がついて踏み出した足を止めた。



「拓海さん」

「はぁぁ、さすがに肝が冷えたぞ。あんな連絡寄越してきて」



しかし、呼びかけると彼は頭をわしわし掻きながら後ろ手で引き戸を閉めた。

絆がいるのに話しかけてくるということはつまり、自分の素性を隠すつもりは無いらしい。



「『私に何かあったら流星と星奈を頼みます』なんて言われたら仕事にも身が入らなかったぜ」

「ごめんなさい、心配させちゃって」

「いいってことよ、どうやら解決できたみたいだから。
にしてもパックリいったみたいだなその唇の傷。痛いだろう、痛み止め処方されたか?」

「ううん、まだもらってないよ」

「そうか、ならちょっと待ってろ」



早々と会話を終わらせて白衣をひるがえし、病室を出ようとする拓海。

ところが行く手を阻んで絆が彼の正面に立った。

突然現れた得体の知れない男を見つめ、そして困惑していた。