流れ星が見えた途端、子どもたちが1箇所に集まりはしゃぎだした。

それを遠巻きに見守る荒瀬倖真がぼそりと呟く。



「へえ、東京の空でも見えるんだね」

「ごめんな倖真、せっかくのロマンチックな夜空の下、むさ苦しい男が隣で」

「いいよ憂雅さん、俺は涼風がいれば幸せだよ」

「ははっ、さすが自他ともに認めるシスコン」

「もちろん、妹が可愛いのは全世界共通ですから」


「ぶっ……あ、ごめんなさい」



倖真のドヤ顔と、シスコン発言に吹き出してしまった。

端正な顔をして、全然そんなこと言いそうにない美少年だったから耐えきれなかった。

笑わない方がおかしいでしょこんなの。



「ああ、すみませんね、静かに星を観察したいところに倖真が茶々入れて」

「こ、こちらこそごめんなさい。ちょっと面食らっちゃって」

「あはは、笑ってくださる方がありがたいです。シスコンだってバレたらよくドン引きされちゃうので。
それにしても、お母さんもお疲れ様です。平日なのにわざわざ連れてきてあげるなんて」

「……ああ、私は在宅勤務なので大丈夫なんです。
この子たちも明日保育園をおやすみさせるつもりです。
まあ、帰ってから旦那のお弁当作るのが大変ですけど」



上っ面で会話をしながら、よくこんな嘘がつけるよなぁとしみじみ思った。