「わーすごい拡散されてる。SNSって怖いね〜」




棒読みで感想を述べながら、ひとつの投稿画面を絆に見せた。

そこには、“行為後”ベッドの上で自撮りしている男女の写真が。

絆はその写真を見ると気持ち悪いものを見るような顔をした。



「あの女に恨みを持つ女性をリサーチして、この写真を投稿してもらうようにお願いしたの。
相当恨みを買ってたみたいで拡散してくれる人すぐ見つかったよ」



恨みを買う以前に、危機管理がなってないお嬢様を心底不憫に思った。



「実はあの女、どこぞの御曹司と婚約してるらしいんだ。
そんな大事な時期に不貞の証拠が拡散されちゃったら、どうなるかなぁ?
……まあ、この人の今後なんて興味無いけど。
とりあえず、絆や私に言い寄ることも無いだろうし」

「さすが梟、やることが容赦ねえな」

「泣き寝入りはしたくない性分なんでね。こういうことは我慢しない。
生憎、あなたの妹やお母さんほど人間が出来てないもんで」



自虐気味に笑うと、絆は片方の口の端を上げて笑った。



「それでいい、優しすぎるのは仇になる。邪魔者は切り捨てろ。
ましてやいずれ極道の姐になる女だ、聖人君子ぶった偽善者に務まるか」



ヤクザの顔に変わり、自論を展開する。

背筋が凍るような表情だけど、自分との将来を描いているなんて嬉しい。

すると絆は移動して隣の椅子に座った。



「裏社会の歩き方は、闇を生きてきた人間にしか分からない。
つまり俺の隣はお前以外考えられない。
……もう俺は、堕ちるとこまで堕ちてんだ。絶対離さないからな、琥珀」



その発言に笑うと、絆はそれが了承の笑みだと分かったらしい。

不意に顔を近づけてきて、そして深いキスをした。