惚れたら最後。

初詣はお参りするとすぐ切り上げて帰ることになった。

帰りの車の助手席には本家で待機していたはずの刹那が座っていたため、絆は少し機嫌が悪かった。

やれやれと思って空気を変えようと声をかける。



「絆、この着物ってオーダーメイド?
結構いいお値段したでしょ、これだけいい生地なら」



琥珀が声をかけると、打って変わって彼はにんまりと笑った。



「秘密」

「えー?これ私買い取りたいのに。
すごく気に入った、ありがとう」

「そうか、気に入ってくれてよかった。
金なんていい、俺からのプレゼントと思ってくれ」

「いいや、金ならいくらでもあるから私が買う」

「うわー!言ってみてぇそのセリフ!」



可愛げのない発言だったが、刹那が笑いながら後部座席の方を見た。



「言うだけタダよ」

「フゥ、かっこいい琥珀」



おちゃらけて笑いかけてきた刹那だが、絆と目が合うと眉をひそめた。



「チッ、口挟むな」

「はぁ、心の狭い男だな。正月早々嫌気がさすわ〜」

「こっちのセリフだ」



どうしても喧嘩に発展してしまうふたりを見て、ちょっと考えてから発言した。



「ははっ、仲良いね」

「「どこが?」」

「ほら、そういうところ。
ふたりとも引くに引けないだけなんでしょ?
本当は気が合うはずなのにプライドが邪魔してどんどん悪い方向に進展していっちゃうんだよね」



ふたりはびっくりして同じような顔をしたため、やっぱり兄弟だなと思った。



「刹那はもっと自分を出した方がいい。
絆はもっと他人に頼った方がいい」



すべて見透かしたような発言に、颯馬は頭をかいた。



「とりあえず俺たちより琥珀が一枚も二枚も上手だってことは分かったよ。
でもこれだけ頭が回るんだ、絆が尻に敷かれて泣きついてきても知らねえからな」

「別に琥珀の尻に敷かれるのは悪くない」

「うわぁ……」




本日二度目の刹那のドン引きの顔に、ついに笑ってしまった。