惚れたら最後。

「ああ、なるほどね」



それから一週間後、とある依頼を受け謎が解けた。



「天下の荒瀬に内通者ね……情報を海外のマフィアや警察に横流しする黒幕か、おもしろいじゃん」



安心した私は久々の大仕事の予感だと心を踊らせた。

荒瀬組に内通者がいるので調査して欲しいとのことだ。

そしてこの依頼を受けたことで、あの時網谷凛太郎に出会った理由がわかった。



「なるほど、それで※顧問の若頭自らがめぼしいシマを訪問してたってことね」



幹部が自分のシマを離れ、二次団体のシマにいたってことは、荒瀬はだいぶ黒幕の的を絞っているとみた。

つまりてっとり早いのは、情報を掴んでいるあの男に近づくことだ。

「凛太郎」は少年時代、梟に格安で住処を確保してもらった恩がある。

そこをどうにか利用すれば……。



「……いや、できれば関わらないのが1番だ。あの男は荒瀬絆と近すぎる」




若頭補佐の鳴海憂雅(なるみゆうが)と兄弟分だし、接近は危険かな。

──鳴海憂雅、あの男も厄介だ。

荒瀬絆が生まれてから、19年という長い年月を共にしてあいつらは一心同体だ。

……実はデキてるんじゃないかとないかと噂されるほどに。



「いや、それならそれでいいんだけど。
え、でもじゃあなんで女遊び激しいの?
でも女とヤる部屋から2人が出てくる写真あるし、信憑性は高い……もしかしてバイなの?
どうでもいいけど女遊びする男なんて生理的に無理」



疑問符だらけの自分の頭の中を整理するためにぶつぶつ呟いたけど、まとまらない。



「不毛すぎる……寝よう」



変なことを考え出してしまったと感じ、私はベットに体を滑り込ませ仮眠をとるために目を閉じた。



※顧問……さまざまな経験をもとに組長らに助言をする役職