惚れたら最後。

数時間後、緊張がほぐれて荒瀬家の子どもたちと和気あいあいと話していた。

小さな子どもたちはアニメを見るのをやめて、今は4人でゲームに熱中している。

すると突然リビングのドアがバァンと開けられた。

するとリビングに酔っ払った憂雅さんが入ってきて、彼らの方に千鳥足で向かった。



「ただいま星奈、流星〜!」

「重いよ憂雅〜!」

「うわ、お酒くさい!」



なだれ込むように流星と星奈を抱きしめる憂雅。

酔っ払った彼に引き気味の顔をしながら、その背後から絆が部屋に入ってきた。



「どうしたの、絆」

「……宴会が一段落ついたから迎えに来たんだが、まだここにいるか?」



あ、もうそんなに時間が経ったのかと思っていたら、隣に座っていた永遠が立ち上がった。



「ううん、大丈夫だよお兄ちゃん。よし、みんなそろそろお開きにしようよ」



それから15分後、たくさん遊べて満足げな子どもたちを連れて琥珀は帰ることにした。

帰りのドライバーは、ほとんどの組員がお酒を飲んでいたので、本家の厨房の力さんにお願いした。

ミニバンの3列シートの最後尾に横になった憂雅は、帰りの車で豪快にいびきをかいていた。



「……憂雅にいちゃんいびきかいてる!星奈みたい!」

「はあ?わたしはレディーだからそんなことしないもん!」

「えー、星奈がおぼえてないだけで寝てる間いびきとかおならとかすごいよ」

「流星だってねごとすごいじゃん!」

「ハッハッハ、仲良いなちびっ子たち。
なんだかちいせえころの刹那と永遠思い出すなァ」



ひょんなことから弟たちが言い争いを始めたので止めようとすると、力さんがハンドルを握りながら声を大にして笑った。

その笑い声にびっくりしたふたりは言い争うのをやめた。


「あの2人もこんな感じだったんですか?」

「ああ、しょっちゅう喧嘩してたな。でも刹那がめっぽう口が強ェからさ、言い負かされて永遠が泣いててよ。
で、刹那はオヤジから拳骨くらって最終的に2人とも号泣ってのがいつものオチでさ」



想像できる……と思って密かに笑った。

ニヤリと笑っていると隣に座っていた絆と目が合って、彼はうっすら笑いながら問いかけてきた。