惚れたら最後。

「……え?」

「どんだけ素直なの、可愛いすぎてつらい。
絆がシスコン気味なのもすっごくよく分かる」

「……」



褒め倒すと永遠ちゃんは耳まで赤くしてしまった。

それを聞いていた刹那と倖真はぽかんと口を開けて驚いている。



「こんな妹がいたら可愛くて仕方ないよね。絆が羨ましい」



笑いかけると、正面に座る刹那が驚いた顔をした。



「うわ、笑ったら雰囲気変わるね。
琥珀こそ可愛くて仕方ないけど。俺も惚れちゃいそう」

「冗談でも絆くんに怒られるよ刹那」

「あいつまじ琥珀のことになると余裕なさすぎてウケる」



一方で永遠ちゃんは目を丸くして驚いて、そしてゆっくり微笑んだ。



「ありがとう。琥珀がお兄ちゃんの彼女でよかった。
私ね、琥珀と仲良くなりたいの。あ、私のことは呼び捨てでいいからね?」

「うん、分かった。じゃあとりあえず連絡先交換しようよ」

「うん!」



スマホを取り出して永遠と連絡先を交換しようとすると、刹那がテーブルの向かいから腕を伸ばしてきた。



「えー!ずるい俺も俺も!琥珀俺とLINEしよ」

「刹那、あんまりふざけてると本当にお兄ちゃんに怒られるよ」

「ふざけてないよ。俺は絆の弟として、絆をオトした女の子のことが知りたいんだよ。
だってあんだけ女遊び激しかった絆を射止めた子だよ?
どんだけいい女なんだよ、って気にならない?」

「別に?」



いまいち真意が分からない刹那に永遠は怪訝な顔をしたけど、その表情すら可愛い。

するとふと永遠と目が合った。



「ねえ琥珀、甘いものは好き?」

「うん、好きだよ。弟たちとよくパンケーキ食べに行くよ」

「そうなんだ、私もスイーツ好きなんだけどね、憂雅とばっかり行くから女の子同士で行きたいと思ってて」

「行こうよ!時間ある時教えて」



出会った時は『狼姫』だと構えて緊張していたけど、話してみると確かに気が合いそうだと嬉しくなった。