「情報屋の仕事はどうするんだ?」

「……梟は死んだことにする。
色々知りすぎたからね。
私が梟であることは一生隠し通すつもりだよ」



すると絆は私の目を見つめながら断言した。



「琥珀、お前は守るべき秘密があると言ったな。
その秘密を人に明かすことは相当な勇気が必要だったはずだ。
俺もその気持ちに応えなければ……。
琥珀の秘密も過去も、全部背負ってお前を守ってやる」



その言葉には確かに力が宿っていた。



「ありがとう絆。頼もしいね」

「ああ、お前のためならなんだってする。
だから万が一俺から逃げるなんて手段選んだら、絶対見つけだしてお仕置きだからな」

「脅さないでよ。好きになりすぎて絆がいないと生きていけないほどなのに」

「こっちはとっくの昔にお前に溺れてんだ。
いなくなったら生きていけないのは俺の方だ」



絆は思いの丈を述べながら近づき、指先で顎を持ち上げ距離を縮める。

あ……キスされる、と構えたその時だった。



「わぁぁ、チューする!?チューするの!!?」



どこからともなく流星の興奮気味の声が聞こえた。



「しっ!うるさい流星!いいとこだからしずかにしてよ!!」



続いて星奈の声が聞こえたので驚いて辺りを見渡すと、リビングの出入口のドアがわずかに空いていた。



「星奈?」



絆が笑いながら声をかけるも、その目の奥は笑っていない。



「は、はいっ、ごめんなさい絆お兄ちゃん!」

「いや、いいんだ星奈は悪くない。
だが、お前にカードキー渡したの誰だ?」

「…………憂雅、です」

「そうか、教えてくれてありがとう。
……あとで金的に一発お見舞してやる」



ついさっきまで艶っぽい表情だった彼は眉間にこれでもかとシワを寄せ般若の形相になっている。

余裕のない絆に思わず笑ってしまった。