惚れたら最後。

「……さっきはむきになって追求してすまない。大人げなかった」



母さんに拒絶する様子がなかったから、親父は琥珀を受け入れる気らしい。

さっきまでの攻撃的な雰囲気がなくなっていて、琥珀は驚いた様子だった。



「いいえ、過去をえぐるような真似をして申し訳ないと思っています」



琥珀の言葉を受け、父はちらりと母の横顔を見つめた。



「壱華がお前を受け入れるつもりなら俺もそうしよう。
だがその前にただひとつだけ質問させてもらいたい」

「……はい」

「なぜ梟ともあろう者が人前に姿を現した?
情報屋にとって個人情報の流出はデメリットでしかないはずだ」



そう言われ琥珀は迷った末口を開き、そしてまた口を閉じてしまった。

不審感をあらわにする親父と対象的に、母さんはちょっぴり自慢げな顔をして言った。



「志勇、それは野暮な質問だと思うよ。
恋は理屈じゃないんだから」


本当に……そうなのか?

かき乱されるような恋心は、俺だけじゃないのか?

キュッと口を結び少し赤らんだ琥珀の横顔を見つめた。

その表情に本当なのだと悟り、同時にじんわりとあたたかいものが胸の辺りに浸透していく。



「マジかよ」



一方の親父はあからさまに顔をしかめて仰天すると続けざまに言葉を放った。