惚れたら最後。

SIDE 絆


狼の間を出た俺は親父の後をついて歩いた。

空き部屋の前に通りかかるとそこに入ったので後に続いた。

親父は部屋に入ると俺の顔をじっと見て、そしてぼそりと呟いた。



「知らなかったのか、絆」



俺はうつむき加減に思いを言葉にした。



「……何か隠していることはだけは分かっていた。
それが気になって俺から近づいた」

「で、探って行くうちに気がついたら惚れ込んでたんだろ?
はぁ……俺の子だな」



図星を突かれびっくりして顔を上げた。

呆れたような半笑いを浮かべる親父は、俺とかつての自身と重ねているかに感じた。



「俺はお前を信じてる。
お前があの娘を“白”と言うのならそうなんだろう」



そういうと指先で軽く頭をかいた。



「しかし、梟だと?なぜ(かたく)なに正体を現すことを拒んでいたくせに今頃になって姿を現した。全く持って意味がわからん。
そもそも梟だという確証もない」



腕を組んで斜め下に視線を向ける親父は今度は厳しい表情だ。



「お前が選んだ女なら歓迎してやろうと思ったが……まさかあの女の娘とは」

「……アイカワミカとは何者なんだ」



絆が質問すると父は一瞬ためらったように動きを止めたが、ふうぅ、と息を吐き出すとまっすぐ絆を見つめた。