厳島に散ゆ~あんなに愛していたのに~

 ……厳島神社(いつくしまじんじゃ)にて戦勝祈願を行なった後、私は軍勢を率いて安芸の地に入り。


 毛利元就が篭城する吉田郡山城へとゆっくり移動。


 そして城のすぐ側にある山の頂上部分に陣を敷いた。


 小高い場所から、毛利と尼子両軍の位置関係が見下ろせる。


 おびただしい尼子の旗に辺りは覆われているように見えるが、毛利の籠もる城は天然の要塞ゆえ、攻めあぐねているのが明白。


 「幟(のぼり)を立てよ」


 大内家の家紋が描かれた幟や旗を一斉に立てる。


 大内の大軍の到着と着陣は、毛利軍を攻めあぐねる尼子軍にはこの上ない脅威となり。


 同時に必死で篭城する毛利の者どもには、希望の光となる……。