……北九州平定を完了し、確かに周防一帯に平和は訪れた。


 だがそれは束の間のもの。


 大内家が九州平定にてこずっている間に、東の出雲(いずも;島根県東部)の大名・尼子(あまご)氏が勢力を拡張している。


 緩衝地帯の小豪族たちが、続々と尼子になびいてしまっているという。


 手遅れにならないうちに、何とかしなければ。


 いや、それ以上に。


 早く御屋形様に抱かれて眠りたい……。


 ひたすら願っているうちに、私は深い眠りに落ちていた。


 敵の夜襲を受けても、おそらく気付かなかったであろうほどの深い眠り。


 敵に斬られても、死ぬ瞬間まで分からなかったかもしれない。