厳島に散ゆ~あんなに愛していたのに~

 そして嫡男・義尊(よしたか)さまは。


 従者とともに落ち延びられる最中に発見され、殺害された。


 「義尊さまが」




 ……言い訳をすれば、当初は命を奪うつもりではなかった。


 周防国を守るためには御屋形様に引退していただき、新たな当主に嫡男義尊さまをお迎えするのが当初の予定だった。


 だが実は御屋形様の血を一滴も引いていない義尊さまを、私は認めていなかったし、認めたくもなかった。


 それは兵たちも同様だったようで。


 公家たちを手にかけるのと同じように、わずか七歳の義尊さまの命を奪ってしまった。


 幼い嫡男までも手にかけた私に対し、非難が高まるのは必至。


 本心はそこまでしたくなかったとはいえ、起きてしまったことの責任は負わなければならない。


 謀反の首謀者として。