「大寧寺にて、大内義隆公自刃!」


 翌日の早朝。


 御屋形様ご自害の第一報が、早馬にて山口に陣を張る私の元へ届けられた。


 「こちらが……御屋形様からの書状にございます。御屋形様がご自害なされる前に、大寧寺(たいねいじ)の住職に託されていたそうです」


 伝令が私に手紙を手渡す。


 御屋形様が最期の手紙を私に宛てられたと聞いて、驚きを隠せない。


 さすがに重い気持ちのまま受け取り、開く。


 震える手を周囲の者たちに気取られないようにするのに苦労した。


 手紙には、見覚えのある御屋形様の流れるような筆跡。


 「陶どの……」


 人目を気にする余裕もなく、懐かしさに涙がこぼれてきた。


 そして最初に目に入ったのは……御屋形様の辞世の句。