(五郎、許してほしい)


 大寧寺奥の仏間にて、御屋形様は最期の時を迎えようとしていた。


 (お前の愛が憎しみに変わっていく様を、私はついに受け止めてはやれなかった)


 そして刃を突き立てた。


 まるで赤い花びらのように、血潮が舞い踊る。