厳島に散ゆ~あんなに愛していたのに~

 ……元より居心地の悪さと、公家に対する嫌悪感などもあり、あの集いには顔など出したくなかった。


 御屋形様が強いるから、会が終わるまでの辛抱と耐えて、議論に耳を傾けていた。


 だが我慢できなかった。


 愛を踏みにじられた者の最後の手段を、容赦なく切り捨てることを是認する御屋形様の気持ちが……。


 「それは、私のこと……?」


 そうなのだ。


 私は六条御息所に自身を重ね合わせていた。


 身を焦がすほどの想いを踏みにじられ、誇りを傷つけられ。


 その悔しさを晴らすことができず、愛が凶器へと変貌し、愛したはずの人に災いをもたらす……。


 「愛し過ぎた……から?」


 愛しすぎたがゆえに、遂げられれぬ恋慕は憎悪へと転換し……。


 その果てには恨み、怨念と変化を遂げ。


 終いには愛した人を滅ぼすこともあり得る……。


 それこそがまさに、愛し過ぎた軌跡の果て。