真宙くんに直接名前を呼ぶ騒動から数分経った。


 今、私と真宙くんは特に何も話してはいない。

 ただ静かに、そして穏やかに時が流れている空間を過ごしている。

 静かで穏やかな時が流れている中、私は上を見た。

 私の視界に入ったのは、美しい緑が広がった世界。

 そこに風が吹けば、美しい緑の葉がやさしく揺れる。

 緑の葉がやさしく揺れたときに、葉っぱ同士が触れ合って、そのときに生まれた音が、まるでやさしい歌声が聞こえてくるような、そんな感覚を覚える。

 そして、その歌声が、とても穏やかで、とても美しく感じた。

 そう感じた私は、その歌声に夢中になっていた。

 そのとき。