【改訂版】CEOは溺愛妻を杜に隠してる

 それから。 

「疲れたろ。のんびりしようか」
「疲れさたのは、護孝さんのせいだと思います……」 

 ベッドに運ばれた私は、ぐったりとしていた。
 蕩かされて高みにのぼらされ、今も余韻が体の中に燻っている。

「嫌だった?」 

 艶のある目で覗きこまれたが、逸らすことも出来ない。 

「その聞き方、ずるいです」

「ひかるを俺の妻だって世界中に宣言出来て、浮かれてるんだ。嫌なら我慢するよ」

「…………嫌じゃない、です……」
「ひかる、愛してるよ」 
 
 夫は極上の微笑みを浮かべると、またもやのしかかってきたのだった。
 
 ◆◆

 モーニングビュッフェに間に合わなかった私達はルームサービスを頼んだ。

 護孝さんは素肌に直接ソフトな素材のボトムを履いて、シャツは袖を通しただけ。

 あの、鍛えた胸筋がしっかり見えるんですけど。

 知ってるけど、触れ合ってるけど、六つに割れた腹筋て朝日の中でも美しいのね。

 長い足を組んでカップを片手にしている夫は、そのままモデル雑誌に掲載されそうな美しさである。

「なに?」

 うっとり見惚れてたのがバレた。
 思ってたことを伝えてみる。

「護孝さんがのんびりした顔をしてるなぁ、て思って」
「……そう?」

 不思議そうな顔をしてるから、気づいてなかったんだ。

「ええ。いつもデートでもキリッとしてるのに、今日は眉間が開いてます」

 護孝さんは思わず己の額に手をあてた。

「普段、縦ジワ寄ってる?」

 ううん、と私は笑顔で首を横に振った。

「リラックスしてくれてるんだな、って。嬉しいです」
「ああ」

 理解出来たみたいで、護孝さんは笑顔を浮かべてくれた。
 上辺だけでもビジネス用でもない、ごく親しい人しか見ることの出来ない微笑み。
 そのうちの一人になれたことを誇りに思う。

「仕事のことを考えないでいられる休日は久しぶりだよ」

 一日、一時間だけ社内メールを確認すると伝えられている。
 バカンスでも完全に休めない彼が、可哀想になる。
 せめて、私といるときはリラックスしてほしい。、
「この一週間、ひかるが望む以外のことは自堕落でいようと決めたんだ。ホテルを堪能しようと思って」

 予定を詰め込まず、互いの肌とホテルのベッドを味わって、空腹になったら食べにいく。
 はしゃいで疲れたら、一緒にスバ。
 護孝さんの説明にワクワクしてくる。

「天国みたいな一週間ですね……あ」

 護孝さんにどうしたのと聞かれた。

「食べてばっかりだと太っちゃう」

 護孝さんがテーブルの上に身を乗り出して、私の唇すれすれにささやいてくる。

「大丈夫、運動時間はたっぷり取るから。……朝飯を食べたら、ベッドに戻ろうか」

 フルーツを咥えたまま固まっていると、護孝さんは私の唇からはみ出たフルーツをかじりとった。

「ん。ひかるみたいに甘い」

 なんでしょう、このメープルシロップに砂糖かけて煮詰めたような夫は!
 私、大丈夫? 一週間後、社会復帰出来るのかな……。