物陰に隠れた。


ここなら見つからないはず…!


徹がこっちに向かって歩いてくる。


お願い、見つからないで…!


「渚」


あっ、見つかってしまった。


頭が真っ白になっていく。何も考えられない…


なんて、言い訳しよう。戸惑う。


「放課後、屋上に来てね。」


じゃあ、と手を徹は振った。


堀口君や、佐藤君と一緒に歩いていく。


廊下は喧騒に包まれたままなのに。


徹の足音だけしか私には聞こえない。


言い訳する時よりももっと頭が真っ白になった。


(これは)


スカートを握りしめる。


(自惚れてもいい、のかな…?)


顔が耳まで真っ赤になっていくのが感覚でわかる。


(放課後、期待しちゃおう)