マルティンの家でささやかなパーティーが行われて数日。蘭はいつものように黙々と仕事をこなしていた。

「蘭ちゃん、今日も解剖してくれてありがとう!おかげで事件がすんなり解決していくよ!」

世界法医学研究所によく解剖の依頼をしてくる桜木(さくらぎ)刑事が言い、蘭は無表情のまま「解決してよかったです。ご遺族や被害者の方が救われます」と答える。桜木刑事は優しく蘭の頭の上に手を置き、蘭を撫でながら言った。

「蘭ちゃん、今度いつも解剖してくれているお礼にスイーツを奢ってあげるよ。たまにはこういうのも悪くないだろ?」

「スイーツはとてもおいしいです。しかし、スイーツと私を撫でるのは何か関係があるのですか?」

蘭が首を傾げながら訊ね、桜木刑事は犬や猫に触れるように蘭の頭を撫で続ける。すると、その手を圭介に掴まれた。

「桜木刑事、女性の頭を触るのはセクハラです!」

真剣な顔で言う圭介を見て、桜木刑事は「なるほどなぁ〜」と笑う。そして怒り続ける圭介に対し、「ごめんごめん」と軽く謝る。