響は謙太郎を唆す


2人が一斉に、

「「はぁーーー?!?!?!」」

とどなった。

「なんで、彼女を決めるのにジャイケンなのよ!」
「あんたが好きな方と付き合え、って言われてんじゃん!」

謙太郎は、ヤレヤレといった顔をした。

「だから、どっちでもいいってんだろ。順番でもいいぜ。だいたい俺が頼んでるわけでもない。おまえらが俺に言ってきただけなんだから、2人で決めろよ。うるさいんだよ」

勝手に聞いていた響だったが(何この言い方)とイラッと思った。

(じゃあ、どちらの彼女にも、きちんと興味がないことをちゃんと言えばいいだけなのに⋯⋯ 。)

長い髪の彼女は、何それ、と呟いて、吐き捨てるように、

「サイテー」

と言った。

「もういいわ。時間の無駄!ばかみたい!」

と、走って校舎の方に行ってしまった。
髪の短い彼女は、あきれた顔をしながら、

「いや、がっかり、ほんと、何なん?⋯⋯ 」

と、パッと後ろを向いて同じように校舎に戻っていった。