俯きながら横を見たら、謙太郎の足と手が見えた。
大きな筋張った男の人の手。
有無も言わさず響の気持ちを彼に向けた手。
熱かった。
頰に触れたから。
冷静になんてなれない。
いたたまれなくて、
「トイレ!」
と立ち上がって、後ろも見ずにトイレに入った。
真っ赤な顔をした自分が鏡に映っていた。
頭を冷やすのに15分ぐらい籠城して、出たら、やっぱり謙太郎がいるので、またドキッとした。
(重症になってる)
と響は思った。
謙太郎に近づいたら、大きな目でまっすぐ響の前身を上から下まで見て、フッと余裕で笑われたので、せっかく落ち着く時間を取ったのに、また体温が上がってしまう。
赤い顔で謙太郎の正面に座った。
横になんて、とても座れない。


