響は謙太郎を唆す


謙太郎に掴まれた箇所が熱い。

交換したブレスレットとハンカチ。
それぞれの腕に付けている。

響は顔を上げれないぐらい自分の顔が熱くなってしまうのを感じた。

俯いていたら、頭に謙太郎の左手が添えられて謙太郎の方を向かされた。

そのまま、その左手は、響の肩を抱き寄せるようにして響の頰を触っているので、真っ赤になったまま、謙太郎の視線から離れられなくて見つめ合ってしまった。

謙太郎が、心が、流れ込んでくる。

何だろう、この状況。

響は自分の血が逆流するようなドキドキだけが聞こえて、動けなくて、声も出せないのに、このまま、謙太郎に倒れこんでしまいそうだった。

桜の時と同じ、謙太郎の香水と謙太郎の匂いがする。
(私達、こんな関係だっけ?)
と響は思った。

これが、謙太郎の内側の扉が開いてるってことなんだろうか?
この、ヒリヒリするみたいな、溶けてしまいそうな、何も考えられない熱さが⋯⋯ 。