謙太郎は響の向かい席ではなく、右横の席に座った。
座る時、顔が近くなって
(あっ、)
と響が思ったら、そのまま謙太郎は座った。
(まただ。意識しすぎた!)
と響は思った。
謙太郎は、左を向いてジロジロと珍しそうに響を見て、自分を見てちょっと照れた。
「弁当みたいだな」
と言った。
謙太郎はお弁当と同じ、お母様の選んだ服、断れない与えられる服。
響は自分で自由に選んだ服。
「でも服は交換できないよ」
と響は言ってから、シルバーのブレスレットだけ外して渡した。
謙太郎は受け取って自分の腕につけた。
そしてポケットから、アイロンがピシッと嫌味なぐらい効いたハンカチを出して、広げてわざと無造作に長くたたんで、響の腕をそっと掴んだ。
ハンカチをブレスレットをしていた響の腕に巻いて結んだ。


