響は謙太郎を唆す


「なんで?
初めて全部俺としろって、私に言ったのに⋯⋯ 、
なんで、沙夜って親しく呼んでるの?
初めて助手席に乗せるのが、なんで彼女なの?
なんで、あんな嘘ついてる人をかばって、優しく抱きとめるの?
一緒に車でどこ行くの?
一緒にパーティーに出るのも?婚約者として見られるのも?初めて一緒に暮らすのも、キスするのも、お母さんと仲良いのも、初恋も?ぜんぶ、ぜんぶ、なんで⁈」

響の気持ちは、涙にも溢れた。

「なんで、何も言わなかったの?私は浮気相手なの?
って、えっ?⋯⋯ 」

謙太郎は、右手で響の涙を拭きながら、左手を響のこめかみに当てて髪をすいて、覆い被さるみたいに響の顔を見て嬉しそうに笑っていた。

「⋯⋯ 笑うこと⁈」

謙太郎は、笑いが止まらなくて、ちょっと泣きそうだった。