響は謙太郎を唆す


さっきよりも月の光が明るくなっていた。月の周りの雲が動く。
暗い海と砂浜に煌々と明るく月の光が照り、遠くの海面が長く帯のように月が映る。

胸が痛い。

理屈じゃない。

見た場面に傷ついて、どんな理由があろうが、もう単純に、ただ嫌だったし、辛かったし、苦しかったし、逃げてもしかたないけど向き合いたくない。

これが、嫉妬?

こんな馬鹿げた行動を取るほど、気持ちが押さえられない。

謙太郎の事ちゃんと信じてた。
彼のお母さんの心配して、謙太郎が選ぶ事について行こうとして、物分かりがいいみたいに頑張ってた。
謙太郎が選ぶなら、彼が幸せなら、それが一番だって。

けれど、あの一瞬の2人の姿だけで、全部が粉々になっていく。
苦しくて、おさえられない、ドロドロの気持ち。

心が中が切れて血が出てるような気持ち。

なんでって叫びたい。