響は謙太郎を唆す


紗代子の父親は、紗代子を見たまま言った。

「謙太郎君の学校に数回乗り込み、女生徒に一方的にひどい嫌がらせを言った挙句、その女生徒に傷害の罪をなすりつけようとした。自分で火傷を負い、警察に駆け込み、女生徒を逮捕させようとした。一緒にいた担任の先生に、クビをチラつかせ、脅した」
「⋯⋯ その女生徒が、戸波?」
「チンピラのような真似をしおって!考えられん!」

紗代子は、俯いていたが、途中から反抗的に父を見て、

「でも、私は1人娘だから、この家も医院も、私のものだわ」

と父に負けずに、強い口調で生意気に言った。
全く自分が悪いと思っていないようだった。

父親は、真顔になって、

「弟の家系にすべて譲渡する。お前は勘当だ。お前みたいな者には、渡さん」