紗代子は、今まで響に対してやってきたような雰囲気は全く感じさせず、しおらしく、頼りなげに、謙太郎の腕に手をかけた。
自然な仕草だった。
謙太郎は横に立つ紗代子をチラッと見下ろす⋯⋯ それから言った。
「響?知り合いなんだって?沙夜と?」
なんで。
並んで立つ2人⋯⋯ 。
『沙夜』て呼んでるの?
地面から凍ってくるみたいに、響は体が固くなって声も出せなかった。
嘘ついて、逮捕させようとして、こんな平気でここにきたの?
様子でも見にきたの?
謙太郎と⋯⋯ 一緒に?
紗代子は、
「戸波さん、お話があって私も連れてきていただいたの」
と言いながら、エレガントな仕草で門の隙間から入っていきなり響の手を両手で包んだ。
バッ
とっさに、響はその手をキツく払いのけた。


