響は謙太郎を唆す


紗代子には、最初の日から響の事を話していたし、どんな誤解も受けないようにしてきたつもりだ。
医者にならない事も繰り返し言った。

だのに、母親も紗代子も、全然聞こうとしない。
それどころかどんどんエスカレートしていて、今の行動はどういうつもりか。
全く分かってなくて、俺の気持ちなんて少しも考えていなくて、なんて自分勝手な女なんだろうと思う。
怖いと思うしすごく嫌だった。

こんな事になってくるなら、ちゃんと紗代子の親にも話した方がいいと思った。
都築さんは立派な方だし、どんどん拗れるよりはっきりさせよう。

家の中のゴタゴタを外に出す事を遠慮していたが、ほっておくわけにいかない状態になってきて、このままじゃ、紗代子にとっても傷がつく。

弟に風呂までついてきてもらい、夜は弟の部屋の床に寝た。
自分の部屋には鍵をかけた。