響は謙太郎を唆す


紗代子ではなかったが、招待客の親子のようだった。

「紗代ちゃん、綺麗になって。」

「事実上、都築さんの跡取りでしょう、
謙太郎くんが」

「お似合いだし、しっかりしてるし、羨ましいわ」

「一緒に住んでるっておっしゃってたわよ」

「親御さんもご安心ね。良縁に恵まれて、あなたたちも⋯⋯ 」

声が遠ざかる。
響は(でしょうね!)
と思った。
でも、残念ながら謙太郎は私と付き合ってるんだから!!!
私の彼なんだから!!!
心で叫んでむなしい。
個室に逃げ込んで座り込んでる。
謙太郎はすぐそこにいるのに。
会いたくて少しの時間でも一緒にいたい人が、すぐそこに違う女性といる。