紗代子は上等な着物で、謙太郎はビシッとスーツ姿。
紗代子は謙太郎の腕に手をかけていて、会場中の招待客が2人を知っているみたいだった。
少し遅れて、謙太郎のお母さんと多分お父さんも来られ、口々に挨拶する
《やぁ、紗代ちゃん、おめでとう!》
《謙太郎くん、立派になったなぁ。》
《内藤さん、ご安心ですな、》
《まぁ、そんな、ウフフ、頼もしい子でしょ。》
《結婚式と勘違いするよ!》
《やだわ、そのうちお呼びいたします。》
謙太郎は、何も発言していないが、薄っすらとした表情で、ごく普通に見えた。
立派なご子息の態度でしかなかった。
生まれ育った環境の中で当然のような態度。
響ですら思う。
紗代子とお似合いだった。
遠い⋯⋯ 自分と謙太郎の間に、見えない高い壁があって、別々の世界にいるみたいだった。
私を好きだと言って、キスした謙太郎じゃない。
今、響はバレるわけにいかなかった。
場違いすぎて謙太郎にも恥をかかせてしまう。


