怖くて謙太郎にしがみついた。
もっと、もっと近くに。
ずっとこのまま、一緒にいたいよ。
好きな人に何でも話す方が本当はいいんだろうか。
相手の人生の決断に、かかわったほうがいいんだろうか。
自分を好きでいてほしいと、全力で言った方がいいんだろうか。
その全部を響はやらないと決めている。
それすら間違っているのかもしれない。
キスの途中で謙太郎は、響の耳に、
「ごめん、俺、問題だらけで」
とささやいて、そのまま響の耳を齧った。
反対の耳は謙太郎の手で優しく触れられた。
「響が欲しい」
耳を触っていた手が、頰と顎と唇と、それから首を、熱く触って降りていき、腕を撫でて、また首に戻って⋯⋯ 。
このまま、どうにでもなってしまいたいと思った。
全部忘れて。
謙太郎は今度は響を寝かせて、深くキスした。
際どい、こんな所で。
何とかギリギリのラインで、その午後、ずっと謙太郎とそんなキスしていた。


