珍しく、授業が半日で、何となく解放されてゆっくり過ごせた午後があった。
他の学年は授業中なのに、高3だけ自習と言う自由な時間だった。
受験をする数人だけは真面目に参考書を開いていたが、ほとんどの推薦の目処がたっている生徒は、せめて邪魔しないように、教室を出て中庭や学食など、あちこちに座って大人しく喋ったりしていた。
謙太郎が響に、
「どっか行く?」
と聞いた。
一応は受験生なので、単語暗記だけ持って、2人で外に出た。
ちょうど、グランドの横にある体育館の外階段の踊り場に2人で座った。
誰もいなかった。
階段は螺旋で落ちないように格子になっているので、景色がよく見える。天気が良くて、でも少し肌寒い。
謙太郎は自分が座って、長い腕で響を引き寄せて、足の間に響を挟むように座らせて、後ろから響の首筋に顔を埋めた。
響は謙太郎の胸に頭をあずけるみたいになって、謙太郎に包まれていた。
謙太郎が顔を寄せて、キスしたので、響は(学校だし授業中だし)と思いながら、胸が痛くなった。


