響は謙太郎を唆す


でも、もし⋯⋯ 。
もし、謙太郎があのお嬢様の紗代子を選んだら、別に私との諍いなどただの過去の事。
結果知らなくていい。

紗代子の顔がよぎった。

綺麗なお嬢様だった。
愛されると信じきっていて、上品で、甘えて、上手に旦那様を転がす。

多分、謙太郎は紗代子を拒否できないんだと思う。
だから家になるべく帰らないようにしている。
そうでなければ振り払えばいいだけだと思う。
完全拒絶すればいいのに。

謙太郎にとって、あちらが本当の世界で、紗代子はありかなしかで言えばナシではないんだろう⋯⋯ と思ったら、心から血が流れるような気持ちになった。
これって、カン?て言うのかな?

多分謙太郎は、紗代子と結婚することも出来るんだと思う。

その境目に謙太郎はいるのかもしれない。