学校にまで乗り込んできて、感情的な話だけを、見ず知らずの子供の学友にぶつける。
戸波さんだって、ただの1人の生徒だ。
さんざん、理事長のお友達の内藤様から電話をされ、戸波さんを排除しようとして、その電話の主はあんなに非常識だった。
自分の長年の教師生活は何だったんだろう、と苦い気持ちがしていた。
「謙太郎のお母さんなのに、どうしよう」
と響が声を震わす。
担任は黙って横に座って、聞いてくれていた。
「謙太郎にお母さんの事、言えない。
知ったら傷つくよ。
でも、言わなくても後から知ったら傷つく。
⋯⋯ どう話せば、お母さんに嫌われずにすんだんだろう、私の態度は良くなかったですか?
ちゃんと最初に挨拶すれば?
話をしたらよかったの?」
響の涙が止まらないので、担任は、立って応接セットの横の書斎の机のようなところから、ティッシュを持ってきて響に渡した。


