「じゃぁ、俺がどうすればいいと思ってんの？」
「どっちもいらないのに、どっちもいるように言ったからじゃないの？ちゃんと考えて、はっきり言えばいいだけなのに」
「⋯⋯ 」
「あっ、でも、」
と言って、その子はものすごく嫌そうな顔をした。
「それでも、ちょっと勿体ないとか、いい思いが出来るかもって下心があるなら、もっとみみちくてゾッとするけど」
みみちい、ゾッとする、すごい言われようだ。
そんな人間だと言われた事もないし、そうだとも考えもしなかったが、指摘されたような気持ちが全くなかったわけではないのかもしれない。
一理あったので恥ずかしい気がした。
謙太郎に声をかけてきた今までの彼女たちには悪いけど同情しない。
こんな評判の自分に寄ってくる女は、皆、似たり寄ったりだった。
目立つ謙太郎と付き合ってる事実が欲しい。そんな男子と付き合っている自分自身にしか興味がない。
